近年、音楽業界ではWeb3の波が広がりつつある。NFTを活用した音楽販売が注目され、従来のストリーミング中心のビジネスモデルとは異なる可能性が見えてきた。
特に、ロックとWeb3の関係は興味深いものがある。なぜなら、Web3の文化はオルタナティブな思想を持ち、反骨精神のあるロックと相性がいいからだ。
本記事では、Web3とロックの関係性、音楽NFTの動向、そしてこれからの可能性について考えてみたい。
Web3とロックの関係性
Web3の音楽市場では、短いループミュージックのリリースが目立つ。その理由は明確ではないが、技術的・コスト的な側面を考えると、フルオンチェーンでのリリースを行うにはデータサイズが小さいほうが扱いやすいためだろう。
また、Web3の音楽シーンでは、ヘヴィロックやオルタナティブな音楽を好むアーティストが比較的多い。
これは、Web3自体が中央集権的な仕組みを排し、自由な発想を重視する文化を持っていることが影響しているのかもしれない。
実際、Nine Inch Nailsのようなダークで重厚なサウンドを取り入れたアーティストも見られる。
2020年代前半の動き
NFTとロックを組み合わせた試みは、2020年代前半にはすでに存在していた。しかし、音楽NFTはまだ一般的とは言えず、市場の認知度も低かった。
最大の課題は「NFTを買う理由がわからない」というリスナーの意識だった。
音楽NFTが目指す「所有する価値」は、ストリーミング時代の「聴く価値」とは異なるものだ。かつてCDをコレクションする文化があったように、NFTも「音楽を所有する喜び」を再定義しようとしている。
しかし、2025年3月現在もこの価値観が広く浸透しているとは言いがたい。
これからの音楽NFT
今後、音楽NFTはどのように進化していくのか?
ひとつの方向性として、アーティストとファンがより密接に関わるモデルが考えられる。例えば、以下のような流れが一般的になるかもしれない。
- 制作の過程をコミュニティで共有
- Spotifyなどの配信サービスでリリース
- 音楽NFTとして販売
- 無料の配信ライブ
- 有料のフィジカルライブ
これは実際にichimatsukunが取り入れているモデルだが、これにより、アーティストは単なる楽曲提供者ではなく、コミュニティの中心的な存在となる。
ファンとの関係がよりインタラクティブになり、音楽ビジネスはよりパーソナルなものになっていくだろう。
また、アーティストには音楽スキルだけでなく、キャラクター性やコミュニケーション能力、さらにはビジネススキルも求められるようになる。
これにより、かつての「カリスマミュージシャン」とも呼べるアイコンが再び登場する可能性もある。
終わりに
音楽NFTはまだ発展途上だ。しかし、Web3の技術や価値観が広がるにつれ、ロックとWeb3が交わる新しい音楽の形が生まれるかもしれない。
今後、音楽NFTがどのように進化し、ロックミュージシャンの活動に影響を与えるのか。
その行方を見守りつつ、自分自身もこの変化の中でどのように関わっていくかを考えていきたい。